店舗デザインを実際に進めていくときに必要な基本的な知識
店舗デザインを作るときには事前にコンセプトを固め、デザイン会社と打ち合わせをしながら、具体的にしていきます。その際に損をしないための会社の選び方や実際にコンセプトの作り方を紹介します。また、デザインにかかる予算や減価償却について説明します。
店舗デザインとは、飲食店や美容室や歯科医院から整骨医院まで、ありとあらゆる店舗のデザインのことです。内装や家具や食器などのインテリアにこだわり、設計計画することです。店舗デザインがしっかりしていると、来店されるお客様がその場所で体験することが、単にサービスの提供のレベルからもう一段上の特別な体験となります。お店や医院側から見れば、そのことが集客率や売り上げなどに直結していく要素です。お客様は、自分のニーズに合った内装の店を選ぶからです。またスタッフのモチベーションにも影響する要素でもあり、お店全体のことを考えると決しておろそかにできない要素です。
店舗デザインとお店のコンセプトが合っていることが重要
店舗デザインはその店舗の目指すブランディングと大きく関わります。ブランドとは他のお店と自分のお店がどこで違うのか、お客さんの視点で区別される点を指します。ざっくりと言うとお店のアピールポイントです。
店舗デザインの際に、どのようなコンセプトで店を経営していくかを明確にして、デザインを統一していくという作業が大切です。そのコンセプトによってインテリアの配置や照明の具合が変化していきます。白を基調としたり、照明を明るくするか暗くしたりするかは、お店の雰囲気を決定していきます。まずはコンセプトを決定することが重要です。
店舗デザインのコンセプトはどのように決めるのか
店舗のコンセプトは店舗をどのようにするかですが、はじめは漠然としたイメージを作っていきましょう。「アットホームなお店にしたい」や「みんなが集まって楽しめるスポーツバーにしたい」や「落ち着いた静かな雰囲気にしたい」など、どのようなお店であれば訪れたくなるかを考えることから始めます。
難しいときには類似の業態のお店を探し、資料としてそのお店の店舗デザインを写真などで集めてきて、参考にするのも良いでしょう。また、どの時期に開店するのか、どの場所にするのか、ターゲット層をどの層にするのか、提供メニューはどのようにするのか、など俗に「5W1H」を意識すると、コンセプトを具体的にすることが可能です。
店舗デザインの基本はどういうものか

店舗デザインのコンセプトを決定したならば、次に具体的にインテリアなどをイメージしていきましょう。まず注意しなければならないのは、「内装制限」です。内装制限は建築基準法で定められていて、火災発生時に延焼を防ぐために、壁や天井の仕上げを燃えにくくすることです。この点は安全確保の観点から守りましょう。
次に考えるべきは、コンセプトに応じて店全体の内装に使用する色彩をどのようにするか、素材をどのようなものにするかを考えます。例えば、落ち着いた雰囲気にしたければ黒を基調にしたり、開放感のあるお店なら木材を基調にしたり白を基調にしたりします。アットホームな飲食店なら、オープンキッチンにして、調理の様子を見せるのもよいでしょう。必ずその店舗に必要なものというのが存在します。飲食店ならレジがそうですが、レジをどこに置くのかを先に決めてしまうとイメージがしやすくなります。
店舗デザインはスタッフの動線も考える

店舗デザインはお客様の集客や満足度を高めるだけでなく、スタッフの働きやすさや効率を考える必要があります。人の動きを動線と言いますが、お客様の動線とスタッフの動線があまりにも交わってしまうと、動きづらく窮屈な印象を持たせてしまいます。
スタッフがスムーズにサービスの提供ができ、トイレなどにお客様が移動しやすいかどうかということも、計画段階で入念に考えておくべきでしょう。視覚的なデザインにあまりにもこだわりすぎてしまうと、お客様やスタッフにとって動線の計画が不十分になってしまうので注意すべき大切な要素です。
店舗デザインの設計費用について
店舗デザインを依頼するときに、コンセプトやイメージを伝えつつ、予算についても十分な意思疎通が必要になります。そのためには、一般的な店舗デザインの相場を把握しておくことが必要です。店舗デザインの費用には、施工費と設計費が含まれます。設計費は打ち合わせを通じて、オーナーの要望や完成イメージを、パース画や図面に起こしていく作業にかかる費用です。この作業で、店舗デザインの詳細が決定していきます。
設計費は店舗面積から決める方法で、1坪あたり3万円から5万円が相場になっています。店舗の業態によっても設計費を変化し、小売店は安い一方で、廃棄や給排水などに配慮しなければならない飲食店は、高くなる傾向があります。
店舗デザインの施工費用について

店舗デザインが決定した後、実際に計画通りに施行する際の費用が施工費です。塗装や壁紙の張り替えや床上げや床の張り替え、インテリア家具や看板の制作、電気やガス工事、厨房機器の設置費用などが、施工費に含まれます。施工費は店舗物件の状態によって大きく異なります。
一般的にスケルトン物件は、居抜き物件の5倍の施工費が必要になります。居抜きの場合の一般的な相場は200万円から400万円前後です。新しくオープンするスケルトン物件は、20坪から30坪前後の飲食店で1,000万円から2,000万円前後が平均的な相場です。
店舗デザインの費用を安く抑えるためには
店舗デザインを安く抑えるためには、電気やガスや水道まで含めた施工全般をワンストップで対応してくれる企業を選択する事が大切です。下請けや孫請けの企業と設計外車が組むと、そこに中間マージンが発生します。しかし、施工全般まで行ってくれる企業を選ぶと、総施工費に対する割合から設計費を算出するために、施工費が安く抑えられればおのずと設計も安く済むのです。
店舗のイメージを具体的に提示すれば、企業側から提案するデザイン数が減り、設計費をさらに抑えられます。また、当然ながら、著名なデザイナーを選択すれば、それだけコストがかかる事は言うまでもありません。
店舗デザインを選ぶポイント

店舗デザイン会社を選ぶときにまず注目したいのが実績です。さまざまなニーズに対応できる実績が豊富な店舗デザイン会社を選べば、どんな要望にも柔軟に対応してくれます。また、得意なデザインや業界などもチェックするとイメージ通りの店舗デザインができます。デザインでは、自然素材を使用したナチュラルなデザインからモダンなデザイン、ラグジュアリーなデザインなど、どのようなデザインを得意にしているかを確認すべきです。
アフターフォローが充実しているかもチェックポイントです。どんな店舗も長期間営業していれば多くの場所が劣化します。デザインを変更したいということもあります。これらの点をきちんとアフターフォローしてくれる会社を選びましょう。
店舗デザイン会社の探し方はどんなものがあるか
店舗デザイン会社の選び方はさまざまな方法があります。一番手堅い信頼度の高い探し方は、知人や他業種のオーナーから紹介してもらうことです。知り合いから紹介してもらうと、より良い店舗デザイン会社と巡り合える確率が高くなります。
大量の情報を比較できると言う意味では、インターネットで探すというのも良い方法です。Instagramを活用して探す方法もあります。Instagramは画像の投稿メインとしているので、実際にその会社が過去にてがけたデザインをチェックできます。SNSはやりとりがしやすいというのもメリットです。
店舗内装工事の会計処理について
店舗の内装工事費用は一時的な損金としては認められておらず、店舗の内装工事費は減価償却として、毎年の損金に計上されます。損金に計上するためには、建物の耐用年数を計算しなければなりません。接客用に使用する設備は15年間、それ以外の設備は10年間、建物自体は20年間が耐用年数です。
この期間だけ、損金に計上できます。売上額によって消費税が免除される制度がありますが、税金や会計処理はとても煩雑なので、税理士などの専門家の力を開店前から借りた方がよいでしょう。減価償却計上することで黒字から赤字に転落してしまう可能性もあります。慎重に処理しましょう。
まとめ
店舗デザインは、集客率や顧客満足度を高め、店舗経営に直結する影響を与えます。それだけに様々な角度から依頼する企業を選択する必要があり、それも全てを任せるのではなく、ブランディングやコンセプトやイメージをきちんと作ることが大切です。そのコンセプトに応じてデザインは変わります。さまざまな方法で必要な費用を軽減することも可能です。